プロジェクトのはじまり

2023年6月21日。夏至。
「廣瀬さん、それは会いに行かないとダメですよ!」

その日、新宿駅新南口のスターバックスで久しぶりに会っていた人からこの一言を言われた時、今思えばそれが一つの流れに向かって背中を押されたタイミングだったようだ。

2023年は私にとって「世界平和」ブームだった。至るところでこの言葉を聞いた。
「これは自分へのメッセージなのかも」
そんなことを思わざるを得ないくらい、とにかく至る所で「世界平和。」
そんな中で「世界平和のための写真」というフレーズが私の中で湧いていて、これこそが自分の使命だと感じていた。
そう感じていた私は、世界平和のために活動している人を撮りたいと思い、SNSやネット検索で色々な人を調べていたのだが、そこで発見したのがIMCCDの高山良二さんだ。
いや、実はずっと前から存じ上げていた人。
その人が東京ビクサイトにいるということで、会いに行ってみようかどうしようかとモゾモゾしていた時に言われたのが冒頭の言葉。
「廣瀬さん、それは会いに行かないとダメですよ!」

ここからが本当に急流を流れるような2ヶ月ちょっとだった。

東京ビックサイトへ

この日、東京ビックサイトではお酒に関する展示会が行われていた。
日本中・世界中のお酒、ワイン・焼酎・日本酒・ウィスキーなどなどのメーカーや酒販店のブースが並ぶ会場に、酒販店やレストラン関係者の方々が集う展示会だったと記憶している。
そしてそこに、地雷処理した土地で作ったお酒ソラクメールのブースがあり、そこでお会いした高山さんの熱量に圧倒され、魅了されてしまったのだ。
実はこの時には、この夏にカンボジアに撮影に行こうなんて思ってもいなかった。秋くらいのスケジュールを決めて、それまでに準備をしていこう。
実はそんなふうに考えていたのだが・・・
その熱量に魅了された私は、
「高山さんを撮りにカンボジアに行かせてください」
と不躾にもその場でお願いをしてしまったのだった。

きっと、なんとも不審だっただろう。今も昔もそうだけど、スイッチが入った時の私はなんとも純粋だなと我ながら思う。

「好きなだけタサエンにいたらいい」

数日後、忘れもしない7月1日。
突然高山さんから電話がかかってきた。
「あなたのことはわかった。好きなだけタサエンにいて撮影したらいい。表彰式でパリに行くから、それも来たらいい。」
そんな内容だった。
「ありがとうございます!パリいつなんですか?」という私の問いに、
「パリは8月末から」というお答え。
それに対して私は何も考えずに
「はい!行きます!」と答えてしまった。

これがこのプロジェクトの始まり。
この時の私はこのプロジェクトのための資金もなく、あるのは情熱だけという状態。
ここからどうやってプロジェクトを進めていくのか。
自分で今振り返ってみても、なんとも向こう見ずな挑戦だったなと苦笑いしてしまう。

次回「松山編」