〜本質を表現し、伝え、つなぐ〜

私は、写真を通して、その人、その場所、その瞬間にしかない魅力を表現したいと思っている。

人や組織には、それぞれにしかない歩みがある。

積み重ねてきた経験。
大切にしてきた想い。
その存在だからこそ生まれる価値。

それは、外側から作り出すものではなく、すでにそこに存在しているものだと思う。

私は、その本質的な魅力を見つめ、写真と言葉によって表現し、伝えていく。


世界平和という問い

私が人や世界について深く考えるようになったきっかけは、高校生の頃に世界で起きている出来事に触れたことだった。

2001年、アメリカ同時多発テロが起きた。

なぜ、人は人を傷つけ合うのか。

なぜ、同じ人間同士で争いが生まれるのか。

その出来事をきっかけに、「世界平和のために、自分には何ができるのか」という問いを持つようになった。

大学では法律を学び、社会の仕組みについて考えた。

しかし、学ぶだけではなく、自分にも今できることがあるのではないか。

そう思った時に出会ったのが、カンボジアの孤児を支援する活動だった。

世界を大きく変えることはできなくても、まずは目の前にいる人のために、自分にできることをやってみよう。

その思いから、カンボジアへ向かった。


写真との出会い

カンボジアで、母が持たせてくれた小さなコンパクトデジタルカメラで写真を撮った。

それは、私にとって初めての表現との出会いだった。

それまで私は、絵や文字など、自分の手で何かを生み出す表現に苦手意識があった。

でも写真なら、目の前にあるものを感じ取り、その瞬間を残すことで、自分が感じたものを表現できる。

写真を通して、自分の中にある感覚を形にできることの喜びを知った。


カメラマンからフォトグラファーへ

その後、偶然の縁からウェディングフォトの世界に入った。

最初の私は、カメラを使って目の前の出来事を撮影する一人のカメラマンだった。

しかし、人の人生に深く関わる結婚式を撮影する中で、写真の本当の価値に気づいていった。

結婚式で起きている出来事を記録するだけではない。

そこにいる人の想い。
家族との関係。
これまで歩んできた時間。

言葉にはできない感情が、表情や仕草となって自然に現れる。

私は、その一瞬に宿るものを捉え、残すことに魅力を感じるようになった。

写真とは、ただ綺麗なものを撮影するものではない。

その人らしさ、その人にしかない物語を表現するもの。

私は、カメラを扱う人から、写真によって人の内側にあるものを表現するフォトグラファーへと変わっていった。


本質を届けるための挑戦

もっと多くの人に喜んでもらえる写真を撮りたい。

もっと深く、人の心に届く表現を身につけたい。

そう思い、世界のウェディングフォトの世界へ挑戦した。

海外のフォトグラファーへ連絡を送り、学べる場所を探した。

そして、ラスベガスで開催された世界中のウェディングフォトグラファーが集まるイベントへ参加した。

そこで見た世界トップレベルの写真は、自分との差を大きく感じるものだった。

悔しかった。

でも同時に、自分が目指すべき方向が明確になった。

足りないものがあるなら、一から学び直そう。

そう決意し、師匠となるフォトグラファーのもとへ飛び込んだ。

撮影技術だけではない。

人との向き合い方。
写真で何を感じ、何を伝えるのか。

多くのことを学び、ウェディングフォトグラファーとして成長していった。


表現したいものとのズレ

その後、ウェディングフォトの世界で活動し、海外のコンペティションでも評価をいただくようになった。

写真を通して人に喜んでもらえること。

自分の表現が誰かに届くこと。

それは大きな喜びだった。

しかし、いつの間にか少しずつ変化が起きていた。

本当に届けたい相手のために撮る写真ではなく、評価される写真を撮ることに意識が向くようになっていた。

本来、自分が大切にしていたもの。

その人の魅力を見つけ、伝えること。

そこから少しずつ離れていった。

その違和感と向き合うため、一度立ち止まり、すべてを手放すことを決めた。

向かった先は、タイ・チェンマイだった。


ただ在るものを写す

チェンマイでは、すぐに写真を撮らなかった。

本当に撮りたいと思えるものが、自分の内側から自然に湧いてくるまで待とうと思った。

そこで出会ったのは、特別な場所や有名な景色ではなく、日々を生きる人たちの姿だった。

市場で働く人。

家族と過ごす人。

自分らしく暮らす人。

その人たちの自然な表情を見ているうちに、改めて気づいた。

私は、人が作り上げた美しさではなく、その人がその人として存在している瞬間を撮りたい。

その人の内側から自然に生まれる魅力を残したい。

それが、自分が本当に表現したかった写真だった。


すべての存在には、その存在だけの魅力がある

その後、自分が何を表現したいのかをさらに深く考えるようになった。

人には、それぞれ違った経験がある。

違った才能がある。

違った役割がある。

だからこそ、一人ひとりにしかない魅力がある。

誰かと比べて優劣をつけるものではない。

あなたには、あなたにしかない価値がある。

あなたは、あなたでいい。

私は、その人や組織が持つ本質的な魅力を見つけ、表現したい。


現在、そしてこれから

現在、私は二つの活動を行っている。

ひとつは、人や組織が持つ本質的な魅力を写真と言葉で表現する仕事。

もうひとつは、旅や日々の中で出会った人、場所、風景の中にある魅力を、自分自身の表現として残していく活動。

この二つは、別々のものではない。

どちらも、そこに存在するものを見つめ、その魅力を伝えるという同じ根から生まれている。

本質的な魅力が伝わることで、人は互いを理解できる。

違いを知り、尊重し合うことができる。

私は、写真と言葉を通して、本質で人と人をつなぐ表現を続けていきたい。

本質を表現し、伝え、つなぐ。

それが、私が写真を通して届けたいものです。